空き家になってしまった実家をどうしようか・・・と、悩んでいる人は少なくありません。しかし、そのまま放置しておくと、家は傷んでいくばかりです。当面住む予定がないとしても、それなりの管理は必要になってきます。空き家をそのままにしておかずに、何らのかの手をうちたいと考えている方は、まず空き家になっている家についてどんな情報を知っておく必要があるのか、どのような選択肢があるのかを知ることによって、やるべきことが見えてくるでしょう。
ここでは、空き家になった実家を処分する前に考えておくべきことについて説明していきます。
家の権利関係を明らかにする
空き家を売ったり、買ったりするには、家の権利を持っていることを示す書類が必要になります。また、親の家を相続しているのであれば、相続登記をしていることも必要担ってきます。あたりまえですが、家を売ることになった場合、買い手が見つかった取りしても、家の登記に関する書類がなければ、契約することができません。まず、家の権利関係を誰がどのように持っているのかを明らかにすることが必要になってきます。
権利関係を明らかにしていくと、今まで家の権利がそのまま放置されていたりすることも珍しくありません。例えば、今でも土地の名義が、何十年も前に亡くなった祖父のままというケースもあります。家の権利関係を調べたある家では、両親がつづいて亡くなり、実家を売却しようとして登記情報取り寄せたところ、名義は父親のままでした。
そのためまず亡くなった父親と子供（2人兄弟）の3人が法定相続を前提に、名義書き換えをしました。このような場合には、他に被相続人がいないかどうかを調べるために、戸籍を取り寄せて確認する必要があります。その次に、亡くなった母親の相続分を2人の兄弟が相続するという書き換を行いました。
2回分の名義を書き換える必要があったために、時間や手間はかなりかかりましたが、無事に書き換えることができました。名義変更する手続きが終わらなけれっば、売却することはできません。
これらの一連の手続きは、全て自分で行おうとするとなかなか大変です。それなりにお金はかかりますが、自分で行うことが難しい場合には、司法書士に任せてもよいでしょう。いろいろな書類を取り寄せるためには、時間や手間がかかるからです。ちなみにさきほどの家では、2ヶ月ほど時間がかかりました。
また、家が平成17年以前に登記されている場合、登記情報の確認や売買で所有権が移転する時に、権利証が必要です。正式名称は「登記済証」というものになります。平成17年以前は土地や建物を取得すると、「登記済証」は法務局が発行していました。しかし、平成17年に法改正があり、平成17年以降から順次、「登記済証」ではなく「登記識別情報通知書」という書類が発行されるようになったため、現在ではなくなっています。
家を売ったりするときに大事な権利証ですが、家の中を探してみたけれど、権利証が見当たらないという場合もあるかもしれません。そんなときには、司法書士、土地家屋調査士、弁護士に本人確認情報の提供を依頼することによって、権利証の提出や登記識別情報がわからなくても、不動産の売却による所有権移転が可能のようです。困っている方は、相談してみるとよいでしょう。ただし、こちらも数万円の費用がかかるようです。
家について知っておくべきこと
家をそのまま売る、家を貸すなどのときには、親の家の全体像が分かる基本仕様が必要となります。例えば、土地や建物の面積、間取り、築年数などです。これらは家の基本仕様となります。これらを知るためにいくつかの書類が必要になりますので、それについて見ていきましょう。土地の測量図、境界確認書と建築確認証および検査証、建築設計図書です。
土地の測量図、境界確認書
土地の測量図や境界確認書は、一戸建てや土地の場合に必要となる書類です。この書面には、土地に関する情報が載せられているので、どこからどこまでが売ることができるのか、貸すことができるのか、対象となる面積はどれくらいなのかといったデータをしることができます。
建築確認証および検査証、建築設計図書
建築確認証および検査証、建築設計図書は、建物の外を整理するために必要な資料となります。建築確認証および検査証は、その家が建築基準法に則って建てられたことを証明する書類となります。これによって違法建築ではないということを証明してくれるのです。
建築設計図書や工事記録を見ることによって、建物の広さや間取りを知ることができます。設計図には日付が記載されているので、家の築年数を把握することができます。水回りのキッチンや洗面所、トイレなどは、リフォームしていることも多い場所です。リフォームしていたら、同じようにリフォーム箇所に関する設計図や工事記録も探しておきましょう。新たにトイレ、洗面所、キッチンなどをリフォームしているのであれば、家を売ったり、貸したりするときに有益な情報となります。
土地測量図や境界確認書、建築確認証および検査証、建築設計図書等が見つからないという場合があるかもしれません。その場合にも、手間と費用はかかりますが、対応策があります。土地測量図、境界確認書については、隣の土地所有者の方々と協議する必要があります。そして、了解を得て測量図を作成します。建築確認済書を紛失した場合は、家が所有する最寄りの自治体にいけば、証明書を再発行することができます。建築設計図書が見つからないときには、室内の寸法を測り、大体の広さ、間取りを把握しましょう。
家にかかっているお金関係について把握する
空き家といってもお金がかかっています。これらのかかっている金額を把握しておく必要があります。あまり気づいていないかもしれませんが、固定資産税や都市計画税などの税金、維持・管理費などの費用がかかっています。現在、維持していくのに、いくらかかっているのかを明確にすることで、早く売りたいとか、この金額であれば売らないで保有しておくという方針が見えてくるでしょう。
この他にも火災保険や住宅ローンが残っている場合がありますので、これらの確認もしておきましょう。
火災地震保険
火災地震保険では、年間どれくらいの費用がかかるものなのでしょうか。ある地域では、木造一戸建て保険金額が2,000万円とすると、火災保険1年間で約15,000円ほどかかります。また、合わせて地震保険にも加入して、保険金額が1000万円とすると保険期間1年の保険料は約18,000円になります。火災保険と地震保険で合わせると1年間に33,000円ほどかかる計算になります。
地震保険料は2014年7月に地震保険の改定があり、保険料率が全国平均で15.5％引き上げられたあと、2017年1月にも改定があり、保険料の値上げが実施されました。地震保険料の値上げが実施されるのは、将来的な災害リスクが高まっているからです。
住宅ローンの残債
殆どの場合、ローンは完済されているとは思いますが、老朽化による建て替えやリフォームによるローンの残債があれば、その返済が必要になってきます。また、一般的に家の維持管理費で年間約50万円かかるという試算も出ています。
これらの金額を合計すると、まあまあ大きな金額になります。家を売れば、これらのお金は一切かからなくなります。売らずに空き家のまま、もしくは更地にして保有しておくのであれば、これらのお金の負担は継続して必要になってきます。家にかかる費用を合わせて検討してみて、年間それなりの金額を負担して家をそのままにしておくのか、それとも売るのかという判断をするための１つの材料になるかもしれません。
合わせて土地の購入代金、建物の建築費、建て替え代金、更地にするのであれば解体工事費用などの見積りをだしておくとよいでしょう。売ったときの売却益を計算する上での必要なデータともなります。
まとめ
空き家になった家を処分するときに前に考えておくべきこと、知っておくべきことについて説明してきました。家の権利関係、家の基本仕様、お金関係について把握することは、これから家を維持するのか、それとも売るのかを決めるときの判断に必要なことです。
家のことを知るために必要な書類、土地の測量図、境界確認書、建築確認証および検査証、建築設計図書などを確認するとともに、お金関係については、税金、維持・管理費用に加えて、火災地震保険、住宅ローンの残債など、他にもかかっているものがないか確認しましょう。
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